信じたくない・・・・。 kenさんの訃報。 身体の具合がよくないのは聞いていた。 でもまさかこんなに早く亡くなるなんて。 嘘でしょ? 信じたくないよ・・・・。
kenさんと初めて会ったのは6年前の5月。 知り合いのリサイタルの時だった。 打ち上げ場所では席がうんと離れていて話すことはなかったが、皆を紹介してくれていたマリー先生に 「あそこにいる綺麗な人は誰?生徒さん?」と尋ねてくれたのがkenさんだった。(当時の私は今より勿論うんと若くて、しかもうんと細くて…kenさんは綺麗だと思ってくれたのかな?)
「あの人は、私の生徒じゃなくて、今日はリサイタルを聴きに来てくれた人なのよ。うちの教室にあんな綺麗な人はいないわよ。」 「せ・先生~、それってどういう意味ですかーっ!?ひどくないですかーっ!?」と教室の女性の生徒さんが叫ぶ。 「あ、そっか、そっか、ゴメンゴメン。冗談よ。・・・・オレンジペコさん、kenさんにお酌してあげてよ~。」 「ハイ、わかりました。」 今と違ってまだ初々しかった私は、恐る恐るkenさんにお酌して、静かにそばに座っていた。
駅への帰り道、kenさんと少し話す。 「先生って、姉御肌で頼りがいがあるんですけど、でもどこかちょっと少女っぽい子供のような部分があって、そこがまた可愛らしくって素敵なんですよねぇ。」と私が言うと、 「そうそう!頼りがいがあって姉御肌だけど、子供のよう…。オレンジペコさん、アンタうまい事言うねぇ~。よくわかってるねぇ~!」・・・・そんな感じで話が弾んだ。
これがkenさんとの一番最初の思い出だ。
そして私は教室生となり、kenさんと会う機会もかなり増えた。 kenさんはその昔高校球児だった。 妹さんは高校球児の母をやっていたらしく、そういう意味でもパコやポコのこと、そして私のことを本当の意味で理解し、そして応援してくれていた。 「球児の母って大変なんだよ。オレンジペコさんがどれだけ大変かよくわかるよ。頑張ってるよね。」といつも励ましてくれていた。
kenさんから、「オレンジペコさん、ギター聴かせてよ。」と言われて、当時は今よりもっとたどたどしい演奏だったけれど、「いいねぇ~。」とkenさんから褒めてもらえるのが嬉しくて頑張って演奏していたんだっけ。 「最近、先生に弾き方が似てきたんじゃないの?」・・・kenさんからそんな風にいわれることも嬉しかった。
いつも優しくて温かくて・・・・会うたびに心がホワッと癒される。 大好きだったkenさん。
父が亡くなった後は、kenさんに会うと何だか父のように思えることもあった。 パコやポコの話をしても 「そう~、うんうん・・・応援してるからね…。」とまるで自分の娘から孫の話を聞くかのように話を聞いてくれたkenさん。
2年前の発表会を最後にギターからも教室からも色々な集まりからも遠ざかっていたkenさん。 入院なさっていたが、頑張って回復して無事退院もなさっていた。 なかなか会える状況ではなかったけれど、必ずまた会えると信じていた。 会えない期間が続いても、私はいつもkenさんのことを忘れたことはなかった。 今、どうしているんだろ…。 パソコンは使えるのかな? メールなら読めるのかな? 残念ながらメールの返事は来なかった…。 元気でいてくれるならいいのだけれど・・・。
そしてお正月。 初めて年賀状を出してみた。 返信は期待していなかったけれど、なんとしてもkenさんとつながっていたいと思った。 心を伝えたいと思った。 その心は…ちゃんと伝わった! なんとkenさんからの声の便り。 ビックリしたのなんのって・・・! でも、あんなに嬉しかったことはなかったな~。 kenさんの近況を聞いて、パコやポコの近況なども教えたりして。 そうしたらやっぱりkenさんは 「そう~、頑張っているんだね~。」って、孫の話を聞くように、私の話やパコ・ポコの話を聞いてくれたっけ。 「暖かくなったら、絶対会って、お喋りしましょうね!約束ですよ~。」 「うんうん。」 そんなやりとりをしたのがつい昨日のことのようだ。
ギターを通じて知り合って、生徒仲間でもあり、高校野球仲間でもあり、そして親子のようでもあり・・・一種独特な、特別な存在でもあったkenさん。
kenさんの訃報を聞く日が来る・・・・年齢的な順番を考えれば当たり前のことかもしれないが、でも、心の準備が出来ていなかった。 まだまだ先のことだと思っていた。 そして何より、やっぱり大事な人には、一日でも長生きして欲しかった。
亡くなったなんて、信じたくないよ。
kenさんとの思い出をいっぱい書けば、そこにはkenさんが生きている。あの日のままのkenさんがいる。 そう思える。 私は絶対にkenさんのことを忘れない。 私が死なない限り、私の中ではkenさんは生きているんだもの。
こうやってkenさんのことを色々書いたら少しだけ涙が止まった。 現実は現実として受け止めなければいけないのだろうけれど、でも、「kenさんとはただ会えないだけ」…そう自分を騙したって…いいよね?
kenさん・・・当分会えそうもないけれど、いつかどこかで再会したら、その時はまたいっぱい色々な話をしましょうね。 私もお酒を飲めるようになっておきますから…!
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